硬質塩化ビニル管の特徴と種類|選び方のポイントから注意点までを徹底解説
建築設備や配管工事などで広く使われている「硬質塩化ビニル管(VP管・VU管)」は、その優れた耐久性や施工のしやすさから、多くの現場で選ばれています。しかし一方で、種類や用途ごとの特性、設置時の注意点などを正しく理解しておかないと、思わぬトラブルを招くこともあります。本記事では、硬質塩化ビニル管の基本的な特徴から、種類ごとの違い、選び方のコツ、さらには設置・保管・メンテナンス時のポイントまで、初めての方にもわかりやすく徹底解説します。配管資材選びで迷っている方はぜひ参考にしてください。
この記事は、包装用品・店舗用品の通販 「シモジマオンラインショップ 」が監修しています。
硬質塩化ビニル管の特徴
ここでは、硬質塩化ビニル管がどのような素材なのか、そしてどんな特徴を持っているのかを解説します。配管資材として広く使われている理由には、軽さや扱いやすさといったメリットがある一方で、使用環境によっては注意すべき点もあります。まずは、基礎知識として押さえておきたいポイントを見ていきましょう。
硬質塩化ビニル管とは?
硬質塩化ビニル管は、塩化ビニル樹脂を原料とした配管資材で、「PVC(Polyvinyl Chloride)」という略称でも知られています。日本では「塩ビ管」と呼ばれることも多く、工事現場などでは「VP管」や「VU管」といった略記で表現されることもあります(※それぞれの違いについては後述)。軽量で扱いやすく、さまざまな設備工事に使われており、腐食や薬品に強く、特に水道や排水、電気配線の保護といった用途で広く活用されています。種類ごとに厚みや強度が異なり、使用環境に合わせて選ぶことができるのも特徴のひとつです。耐久性とコストパフォーマンスのバランスに優れているため、建築現場やインフラ整備など、幅広い分野で定番の素材となっています。硬質塩化ビニル管のメリットとデメリット
硬質塩化ビニル管は、現場での扱いやすさやコスト面など多くの利点がありますが、注意が必要な点もいくつかあります。以下に主なメリットとデメリットをまとめます。メリット
・軽量で施工がしやすい 金属管より圧倒的に軽く、運搬や取り付け作業が楽になります。 ・耐腐食性・耐薬品性に優れる 酸やアルカリに強く、サビの心配がほとんどありません。 ・絶縁性が高い 電気を通さないため、電線管としても安全に使えます。 ・耐水・耐候性がある 湿気や雨、ある程度の紫外線にも耐え、屋外利用にも対応しています。 ・加工が簡単 切断や接着がしやすく、現場での対応力が高いです。 ・コストが安い 材料費も施工費も抑えられ、経済的に導入しやすいです。デメリット
・高温に弱い 加熱すると軟化するほど耐熱性が弱く、熱湯や高温配管には不向きです。 ・低温に弱い 寒冷時には素材が硬くなり、衝撃で割れやすくなります。 ・衝撃に弱い 落下やぶつけた際に割れることがあるため、丁寧な取り扱いが必要です。 ・有機溶剤に弱い アセトンやトルエンなどに触れると、素材が溶けたり劣化するおそれがあります。 ・直射日光に注意 長期間日光にさらされると、表面が劣化する場合があります。 硬質塩化ビニル管カテゴリはこちら硬質塩化ビニル管の種類と選び方
ここでは、硬質塩化ビニル管の種類と、それぞれの用途に応じた選び方について解説します。見た目が似ていても、厚みや耐圧性、適した使い方には違いがあります。誤った選定は施工不良やトラブルにつながることもあるため、種類ごとの特徴を正しく理解して、目的に合った管を選ぶことが大切です。
さまざまな種類の硬質塩化ビニル管
硬質塩化ビニル管には、用途や性能に応じたさまざまな種類があります。以下の表で、主要なタイプとその特徴を比較してみましょう。| 種類 | 特徴 | 主な用途 |
|---|---|---|
| VP管 | 肉厚で耐圧性が高く、内面が滑らか | 給水配管、圧力をかける配管 |
| VU管 | 薄肉で軽量、低コスト | 排水管、通気管 |
| HIVP管 | 耐衝撃性に優れ、割れにくい | 寒冷地・耐震性が求められる場所 |
| HT管 | 高温に強く、耐熱性に優れる | 給湯配管、温水ライン |
| VM管など | 大口径で農業・土木向けの仕様 | 農業用配管、下水道管など |
用途に応じた硬質塩化ビニル管の選び方
硬質塩化ビニル管は、用途や環境に応じて適した種類を選ぶ必要があります。給水には圧力に耐えるVP管、排水には軽量なVU管、高温にはHT管など、それぞれ役割が異なります。とくに外気温や設置条件によっては、耐衝撃性や耐熱性も重要な判断基準になります。 以下に、主な用途ごとのおすすめ管種をまとめました。| 用途例 | 適した管種 | 主な理由・ポイント |
|---|---|---|
| 給水配管 | VP管 | 耐圧性が高く、水圧のかかる場面に対応 |
| 寒冷地・耐震対策 | HIVP管 | 衝撃に強く、低温環境でも割れにくい |
| 排水・通気 | VU管 | 軽量で扱いやすく、無圧用途に適している |
| 高温水の配管 | HT管 | 耐熱性に優れ、60~90℃の温水に対応可能 |
| 農業・土木用途 | VM管など | 大口径で大量の流体にも対応、地中埋設にも強い |
硬質塩化ビニル管を使用する上でのポイント
硬質塩化ビニル管を安全かつ長く使用するためには、設置時の注意点や日常的な保管・メンテナンスにも気を配る必要があります。素材の特性を理解したうえで、施工ミスや劣化トラブルを防ぐための基本的なポイントを確認しておきましょう。
設置時の注意点
硬質塩化ビニル管を安全かつ正確に設置するには、いくつかの基本的な注意点を押さえておく必要があります。施工時のミスや劣化トラブルを防ぐために、以下のポイントを意識しましょう。 ・まっすぐに切断し、バリを取る 管の切断面はできるだけ垂直に保ち、切り口のバリをしっかり除去することで、接着の密着性が高まります。 ・接着は差し込み深さまで確実に 管と継手の両方に接着剤を均一に塗り、目印までしっかり差し込んだうえで、所定の乾燥時間を取ることが重要です。 ・継手の向きと角度を確認する エルボやチーズなどの部材は、角度がズレていると配管全体に影響が出るため、あらかじめ向きを調整してから接合します。 ・施工中の異物混入を防ぐ 作業中は管の開口部にキャップや布を被せるなどして、砂やゴミが入り込まないように保護します。 ・水圧試験で漏れをチェックする 施工後は埋設前に水圧試験を行い、継手部からの漏れがないかを必ず確認しておきます。 ・温度環境に配慮する 寒冷時には管が脆くなりやすく、衝撃で割れる恐れがあります。逆に夏場や屋外では、紫外線による劣化を防ぐために遮光や保護塗装を検討しましょう。 ・現場加工は避ける 無理な曲げ加工や加熱処理、ねじ切りなどは管の性能を損なう原因になるため、行わないようにしましょう。 このような基本を丁寧に守ることで、配管の性能を長く維持することができ、安全で信頼性の高い施工につながります。保管とメンテナンス方法
硬質塩化ビニル管を安全に長く使うためには、保管とメンテナンスの扱い方も重要です。まず保管については、直射日光や雨にさらされる場所を避けることが基本です。屋外での一時的な保管が必要な場合でも、紫外線を防ぐために不透明なシートで覆うなどの工夫が必要です。 ・直射日光の当たらない場所に置く ・雨水や湿気がこもらないよう、風通しの良い環境を選ぶ ・屋外では必ず養生シートでカバーする 管を積み重ねて保管する際には、受口部分が重ならないように並べ、たわみや変形が起きないように注意します。地面に直接置かず、間隔を空けた木材やラックで支えると安心です。 ・支えとなる台木を一定間隔で設置する ・受口の位置が偏らないように揃えて並べる ・長尺物の場合は中央が沈まないように複数点で支える 管を使用する前後には、メンテナンスも兼ねて状態の確認を行いましょう。汚れや傷があると接合部の不良や漏水の原因になります。 ・使用前に表面のヒビや変形がないか目視で確認 ・泥やホコリが付着していれば乾拭きや水拭きで清掃 ・長期保管後は再チェックし、異常があれば交換する また、寒冷地では管が凍結により割れやすくなるため、保温材で覆ったり、極端な温度変化を避けたりする対策も忘れずに行いましょう。 硬質塩化ビニル管カテゴリはこちら硬質塩化ビニル管に関するよくある質問
Q.VP管とVU管の違いは何ですか?
A.VP管は肉厚で耐圧性があり、給水や圧力がかかる配管に使われます。一方、VU管は薄くて軽く、排水や通気など圧力のかからない用途に向いています。圧力がかかるかどうかが、選定の大きな分かれ目です。Q.塩ビ管とPVC管の違いは何ですか?
A.「塩ビ管」と「PVC管」は、基本的には同じものを指します。違いがあるとすれば、その呼び方の使われ方にあります。塩ビ管は、日本で一般的に使われている呼び名で、「塩化ビニル管」の略です。PVC管は、英語の「Polyvinyl Chloride(ポリ塩化ビニル)」の略で、主に技術資料や製品仕様などで使われる表現です。 どちらも素材は塩化ビニル(PVC)であり、呼び方が違うだけで中身は同じです。会話では「塩ビ管」、図面やカタログでは「PVC管」と表記されることが多いです。Q.VPとVUの正式名称は?
A.VPとVUの正式名称はどちらも硬質ポリ塩化ビニル管ですが、略称のもとになるのは以下の通りです。 ・VP:VinylPipe ・VU:VinylUsuniku(VinylUsui) 硬質塩化ビニル管カテゴリはこちら硬質塩化ビニル管についてのまとめ
硬質塩化ビニル管(PVC管)は、軽量で扱いやすく、耐腐食性や絶縁性に優れていることから、給水・排水・電気配線保護など幅広い用途で使われている配管資材です。VP管やVU管といった種類があり、使用目的に応じて選定することで、施工性や耐久性、安全性を確保することができます。ただし、温度変化や衝撃、有機溶剤などには注意が必要で、適切な設置方法と保管・管理を行うことが、長く安心して使用するためのポイントとなります。特性を正しく理解し、用途に合った選び方と取り扱いを心がけることが重要です。
硬質塩化ビニル管カテゴリはこちら
この記事は、包装用品・店舗用品の通販 「シモジマオンラインショップ 」が監修しています。




