なぜ2020年7月からなのか?世界のレジ袋事情も紹介
2020年7月から、日本全国の小売店に対してプラスチック製買い物袋、いわゆる“レジ袋”の有料化が義務付けられることとなった。
シモジマではレジ袋有料化に関する情報を様々な角度からピックアップ。
第1回目となる今回は、そもそもなぜこのタイミングでレジ袋有料化が決定されたのかと、世界各国のレジ袋事情を解説する。
なぜ2020年7月から有料化?オリンピック前に迫られた対応
なぜ2020年7月1日というタイミングで、レジ袋は有料化されるのか。
結論から言えば、2020年の夏には
東京五輪があるからだ。
(※2020.04.09追記:東京五輪開催はコロナウイルス感染拡大の影響により、2021年夏に延期が決定されている。)
オリンピック・パラリンピックは開催にあたり様々な理念を掲げているが、その中には「環境保全」も含まれている。
「世界的な一大イベントであるオリンピック・パラリンピックを、環境のことを皆で考えるきっかけにしましょう」、というわけだ。
当然、開催国にはそのリーダー的立ち位置として画期的な取り組みが求められている。
日本が2020東京大会で目指すのは、
世界一環境に配慮した大会開催。
「メダルは使用済み携帯電話や家電から集めた素材を再利用して作る」
「競技会場をはじめ、選手村や放送センターで使用する電気を太陽光や地熱などの再生可能エネルギーでまかなう」
など、“エコ”と“サステナブル”を実現するための施策を発表している。
海洋プラスチックをはじめとする世界各地での深刻な環境問題があることから、いずれにせよプラごみ削減への働きかけは必要だった。
(海洋プラスチック問題について詳しくは
こちら。)
が、東京五輪が今回の有料化の大きなきっかけだったことは間違いないだろう。
レジ袋の削減だけではプラごみの大幅削減にはつながらないとのデータは出ているものの、
まず第一歩としての今回の有料化とみてとれる。
それでは、他の国ではレジ袋をはじめとするプラスチック包装に関し、どのような対応をとっているのだろうか。
世界各国でのレジ袋事情
韓国は全面禁止 テイクアウトも脱プラへ
韓国では2019年4月から、プラスチック製のレジ袋は
全面的に禁止。
それまでにも、原則的にレジ袋の有料販売・プラスチック容器規制の措置が取られていた。
そんな韓国では、日本よりもマイバッグ文化が浸透。
どうしても手持ちがなく、買い物した店舗で袋が欲しい場合には、ゴミ袋として使うことのできる袋を購入することが可能だ。
また、韓国の街にはカフェが充実している。SNS映えするかわいい店舗が特に人気で、若い女性を中心に日本でも話題だ。
カフェでも脱プラが進んでおり、テイクアウトの際に使用されるのは
プラスチック袋ではなく紙袋だという。
台湾は2003年から有料化 ユニークな新型手提げも
2019年は日本中をタピオカブームが席巻した。
その黒糖タピオカの本国台湾でも、2003年からスーパーやコンビニのレジ袋は有料化されている。
また有料販売されるレジ袋についても、
厚みや成分に関する厳しい基準がある。
加えて、2030年にはレジ袋だけでなく
使い捨てのプラ製食器、コップ、ストローが全面的に使用禁止となる予定だ。
なお、台湾のセブンイレブンでは弁当を購入した際のみ、このような
不織布製のシートを無料でもらうことができる。
こちらはシモジマでも扱っているので、レジ袋に代わるテイクアウト用の手提げとして検討してみてはいかがだろうか。商品は
こちら。
消費量1位のアメリカ 各州で続々と規制導入
アメリカは、プラスチック製手提げ袋の消費量が
世界第1位。ちなみに、2位はなんと日本である。
州ごとに法律の違うアメリカでは、レジ袋に関する対応も州によって異なっている。現在何らかの規制が設けられている州の数は半数にのぼる25。
そのうち、タイムリーにも今年の3月から全面廃止となったのが
ニューヨーク州だ。プラ製のレジ袋は廃止、紙袋も有料で販売される。
NY市衛生局は施行にあわせ、リサイクル素材のトートバッグを70万枚無料配布し、再利用を促すキャンペーンを行った。
有料化で意識改革のイギリス 新たなブームも
4つの国から成る連合国であるイギリス。
まずはウェールズが2011年に、次いで13年に北アイルランド、14年にスコットランドと続き、2015年のイングランドでの法施行で4国すべてがレジ袋有料化となった。
イングランドで導入された“レジ袋税”はどうやら国民の意識改革に大きく影響を及ぼしており、レジ袋の使用は
85%も削減されたという。
代わりに盛り上がったのが、
エコバッグ市場。各スーパーがこぞってオリジナルのエコバッグを販売しているが、いずれもデザイン性が高くちょっとしたブームに。
手軽なお土産品として、観光客向けのガイドブックでもたびたび紹介されている。
ドイツには世界初無包装のスーパーマーケットが登場
環境大国と呼ばれるドイツ。レジ袋は基本的に廃止、もしくは再利用可能な厚手のものか紙袋への移行が進んでいる。
そんなドイツの首都ベルリンに2014年誕生したのが
「Original Unverpackt(オリギナル・ウンフェアパックト)」。
ドイツ語で直訳すると「無包装でそのまま」を意味する、世界初の完全無包装のスーパーマーケットだ。
店内では多くの商品が量り売りになっており、
個別の包装はゼロ。買い物をする際はその場で再利用できる容器を購入するか、持参するシステムになっている。
こうした無包装の業態の店舗はドイツ各地に増えつつあり、国民レベルでのプラスチック断ちへの意識の高まりにも貢献しているようだ。
厳しい罰則規定のケニア
ケニアでは2017年から
法律でビニール袋が禁止されている。
製造・販売・輸入はもちろんのこと、なんと使用した場合でも最長で4年の禁固刑、あるいは最高4万ドルの罰金刑の可能性がある重い罰則規定。
当時、
「世界で最も厳しいポリ袋禁止令」とも報じられた。
施行直後は近隣国からの密輸などの問題も生じたようだが、その後制度の見直しも行われ、現在ではかなりの量のレジ袋削減に成功している。街の景観も改善されたとのことだ。
世界で進む脱プラの動き
このほかにもレジ袋の使用に関して規制を設けている国は多く、世界中で計127か国にのぼる。
地域としては環境意識の高い
ヨーロッパ諸国、ゴミ問題がダイレクトに国民の生活に影響を及ぼしている
アフリカ諸国での取り組みが特に積極的だ。
各国、対応の度合いは様々だが、基本的に
使い捨てのプラスチック製袋は廃止。代替として再利用可能な厚手の袋や紙袋を使用し、またそちらも有料販売としているケースが目立つ。
レジ袋に続いて、
そのほかのプラスチック包装の規制に着手している国や地域も少なくない。
日本では7月から始まるレジ袋の本格規制。
今後プラスチック容器との付き合い方をどのようにしていくか、
世界の動向にも注目だ。
レジ袋有料化の制度や関連製品についての情報はこちらのページでまとめてご紹介をしております。ぜひご確認ください。